いつも弊社のホームページやBRAKE-MAKER.comをご覧になっていただき誠にありがとうございます。少し間が空いてしまいましたが、今回は弊社が密かに開発を続けている「ブレーキライニング」について少々皆様にご紹介させていただきます。
創業以来105年、自転車(一般軽快車)のブレーキを一貫して製造販売して来ましたが、近年は一般軽快車の需要落ち込みと、それに伴うブレーキの価格下落の現状があります。
そのような事情から、弊社ではその解決にむけ幾度となく議論を重ね「何をすべきか?」社長を筆頭に開発判断をしております。
その中で最も重要なのが「ブレーキ材の開発」です。冒頭にある「ブレーキライニング」の開発ですね。
もともと、弊社は自転車用バンドブレーキに強いメーカーですので、バンドブレーキに使うゴム製ライニングはオリジナル技術で実現しておりますが、ゴム製ライニングはブレーキトルクと熱、鳴きにデメリットがあります。今後の需要と未来永劫メーカーとして存続していくためには「レジンモールドライニング」の開発が必須です。
ブレーキライニングと聞くと、「なぜ今さらブレーキライニング?」「熟成技術ではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、私たちにとってはこれは単なる素材開発ではありません。
むしろ、自社の信頼を取り戻すための“原点回帰”であり、そして自転車以外の産業にブレーキメーカーとして君臨するための未来への挑戦なのです。
【「止まる」を信じてもらうために】
ブレーキが効かない。音がうるさい。
そんな声が、ユーザーから届くたび、私たちは胸が痛みました。
市場の変化に応じたコストを重視する選択も考えられましたが、その選択が「信頼」というもっと大切な価値を損なっていたとしたら――。私たちは「止まる」という当たり前の機能を、もう一度、ちゃんと作り直そうと決めました。
【ライニングが変われば、ブレーキが変わる】
ブレーキの性能は、ブレーキエレメント(ブレーキシュー)の形や構造だけでは決まりません。
実は、最も性能に直結するのは「ブレーキ材」、つまりライニングなのです。
・制動力の安定性
・静音性(ブレーキ鳴きの防止)
・雨天時の効きの良さ
・耐摩耗性
・そして環境負荷の低減
このすべてが、たった数ミリの“摩擦材”によって左右される。
それほどまでに、ライニングはブレーキの“心臓”なのです。
【自分たちの手で“止まる”をつくりたい】
私たちは、105年続けてきた自転車ブレーキのノウハウをすべて投じて、
自分たちの手で“納得のいくブレーキ材”を開発しようとしています。
それは決して簡単な道ではありません。
摩擦係数や熱安定性の検証。鳴きの低減。気候変化への対応。すべてゼロからです。投資もやむを得ない。
でも、それでもやる価値があると思うのです。
また、近年自動車メーカー様から小型で薄いというメリットで数多くの小型低速モビリティ(PEV)に採用されておりますが、今後のモビリティの発展性を考慮するとよりブレーキ材の高度化を意識しなければなりません。
なぜなら、私たちの製品を使う人が「安心して止まれる」ことこそが、本当の品質だからです。
これから少しずつ、開発の進捗や試験の様子などもこの場でご紹介していけたらと思っています。
「止まる技術」を、もう一度、真剣につくる。
私たちのブレーキライニング開発は、そんな決意から生まれたプロジェクトです。
どうか、今後の取り組みにもご期待いただけたら幸いです。


これがブレーキライニングとして機能する。